2010年12月9日木曜日

コーディネーターの日々

今日はコーディネーターのつぶやきでも書いてみようかと・・・


つい先日扱った原稿の中で最終的評価項目として複数の臨床的有用性、 無増悪生存期間と毒性についての文章で苦労をされた方がおられました。


何故苦労してしまったか?


著者は最終的評価項目として複数の臨床的有用性に含まれる項目をあげるのに、clinical benefit "defined as” ---, ----, ----”, progression free survival and toxicityとして文章を組み立て、校閲者に文章を投げてみたらしいのですが。


実は"defined as"を入れてしまったことでclinical benefitに後に続いた”---, ----, ----”がclinical benefitの”意味"として書かれた形になってしまい、校閲者を混乱させる結果に。


では、混乱を避けるにはどうしたらよかったのだろう?


evaluations of clinical benefits "consisting of" --, ----, ----, and progression free survival as well as toxicityとでもしてあったら・・・


clinical benefit としてみなされる項目が” ---, ----, ----”としてあり、それ以外にprogression free survival and toxicityを評価としてわけることが可能


さて。。。これが無事、校閲者の方で理解され、どんな洗練された文章になるのかがお楽しみ♪

2010年12月8日水曜日

過去にサポートさせて頂いた案件で掲載された原稿

ご無沙汰いたしております。


先月半ばからつい先日まで持病をこじらせ、入院を余儀なくされておりました。。。


久々の更新でこのようなネタもどうかと思ったのですが、2009年以降に弊社論文サポートをご利用頂き、アクセプトされた論文の一部につきお客様の許可を得て弊社HPに掲載されていることをご存知の方はおられますでしょうか?


サイトへGO!! http://www.nai.co.jp/keisai/index.html

これ等はあくまでも弊社にてお取り扱いしている原稿の極々一部に過ぎないのですが、長年ご愛顧頂いておりますお客様の中で掲載を許可してくださった方々のみを集めたものです。

このリストに含まれる原稿以外にもNATUREシリーズや、NEJMのBrief Report等に掲載された原稿のサポートにも携わってきております。

お取り扱いしてきた原稿の中には、著者様と校閲者との間のコミュニケーションが原稿だけではなかなかうまくいかず、何度もコーディネーターが取次ぎや状況説明等をしてきたものもあり、著者様同様、お取り扱いしてきている原稿は「我が子」の如く一つ一つ大切に対応させていただいています。

原稿のサイズ、形式、掲載先、ご所属先、ご依頼者様の肩書きなど一切関係なく、弊社では自然科学に携わる原稿を大切にお取り扱いしております。

もし今後英文を書かなくてはいけないことがございましたら、是非ともお役に立たせていただければと思います。

2010年11月8日月曜日

Managing English Articles



日本人にとってはどうしても身近にならない「冠詞」


今日は校閲者の一人から届いたコラムをご紹介しましょう。

For speakers of languages which don't have them, managing English articles -- "a", "an", and "the" -- can be one of the writer's trickiest puzzles.  The following series of questions will guide you to the answers.



Does the noun you are using refer to any single member of a group or a specific member of a group?

§         If you are talking about any member of a group and only one of those members, use one of the indefinite articles "a" or "an".
  
§         Which of these ("a" or "an") should you pick?  That depends on the sound that begins the word immediately following the article.
  
§         If that word starts with a consonant sound, use "a".  For example, it's correct to write "a boy", "a paper",  "a sunny day" or "a European" (because the word "European" begins with the consonant "y" sound).
 
§         If that following word starts with a vowel sound, use "an".  You should say "an experiment", "an envelope", or "an empty glass".

But what if you're referring, in a general sense, to more than one member of a group? 

§         Now you need the word "some".  For example, it's right to talk about "some books", "some letters", or "some people".

Does the noun you're using refer to a specific member of a group?

§         If you're referring to a specific member of a group, use the definite article "the".  For example, you're correct to write "the experiment proved that ...", or "the method we used ...".
 
§         Even if you're referring to more than one specific member of a group, you should still use "the".   It's right to say, for example, "the excellent papers written by Dr. Chen" or "the exams I took last week".

Does the noun you're using refer to something unique?

§         If it does, use "the".  For example, you can talk about "the Louvre", "the planet Venus", or "the theory of relativity".  There is only one -- a very special one -- of each of these.
Does the noun you're using refer to something that cannot be counted?

§         If so, you must use "the".  You must say, for example, "I spilled the milk", or "I fell into the water".  We can count glasses of milk or bottles of water, but not milk or water themselves.

Does the noun you're using really need an article?

§         If you want to express a general meaning referring to a group of very similar things, you should omit the article.  Thus, you can say "Teachers have expert knowledge", "Experiments are important in science", or "Dogs are popular pets".
 
§         If you're discussing an uncountable noun in a general sense, leave out the article.  For example, you might write "Love is a wonderful feeling", or "Health is something that concerns us all".
 
§         A few other kinds of nouns never take an article.  Names of languages and nationalities, names of academic subjects, and names of sports are examples of these.

2010年10月29日金曜日

自然科学分野に関わる気になった話題

既にご存知の方が多いかと思いますが2010年版世界の大学ランキングが発表されましたね。

大学総合ランキング


http://www.topuniversities.com/university-rankings/world-university-rankings/2010/results


Arts and Humanities


http://www.topuniversities.com/university-rankings/world-university-rankings/2010/subject-rankings/arts-humanities


Life Sciences and Medicine


http://www.topuniversities.com/university-rankings/world-university-rankings/2010/subject-rankings/life-science-biomedicine


Natural Sciences


http://www.topuniversities.com/university-rankings/world-university-rankings/2010/subject-rankings/natural-sciences


Social Sciences & Management


http://www.topuniversities.com/university-rankings/world-university-rankings/2010/subject-rankings/social-science


Engineering and Technology


http://www.topuniversities.com/university-rankings/world-university-rankings/2010/subject-rankings/technology


順番は多少入れ替わってはいますが、常に見かける大学名ばかりのようですよね。

まだまだ英国と米国の大学名が相対的には多いのですが、やはりアジア圏の大学名が入ってきているのがわかります。


アジア圏のみをベースにしたランキングになると

http://www.topuniversities.com/university-rankings/asian-university-rankings/overall

ここ数年英国的教育の影響を受け継いできた香港が日本の大学とどんぐりの背比べをしていたのですが昨年は4位だった東大も5位になってしまった様子。

香港、シンガポール、ソウル・・・

単純に考えればそのいずれの地域も海外留学も多く、かつ高学歴になればなるほど英語力がある人々が多くなっているのがあきらか。

やはりここは英語力は「武器」ではなく、研究者である限り「デフォルトの能力」としてもつ必要性があるのは一目瞭然なのかもしれない。


で、また気まぐれ更新する日まで・・・

2010年10月27日水曜日

案外知らない人が多い査読者推薦

案外知らない人が多い査読者推薦。

実はジャーナルの中には、査読者を推薦できる制度があることをご存知でしょうか?

特殊分野ごとに査読者=専門分野に精通した研究者を推薦することも可能

逆に過去にトラブルが続いてしまった査読者による査読を避けてもらうことも100%夢ではなくなるわけです。

もちろん、全ジャーナルが推薦を100%許可しているわけではないのですが、査読者推薦を認めているジャーナルなのであれば、「是非この研究者の意見を聞きたい!」と思う方を推薦することも可能。

ただ、時と場合によっては掲載につなげるための手法として身内であったり、恩師であったりを推薦すると厄介なことになりうる可能性もあるので人選には注意が必要です。

また査読者として推薦した方に失礼が無いように推薦と同時に、以下のような簡単な報告をしておくことでトラブルを避けることが可能です。



Name of the individual you are writing to.
The address

Dear Dr. Xxxxxxx,

I hope all is well with you.

We will have just submitted a manuscript on xxxxxxxx entitled “Xxxxxx ….. ” for consideration in (the name of the journal). 

In proceeding with the submission, we have recommended you as the preferred reviewer in going over this topic. We apologize for this letter being the after notice of this recommendation request.

We understand that you are awfully busy with your own regular duties, however as we believe that our paper is a definitive report containing findings that are significant and timely for the xxxxxxx study, we hope you would spare us your precious time in going over the manuscript.

Thank you in advance for your consideration.

With respect,

2010年10月22日金曜日

投稿経験が豊富な校閲者からの助言 1

誰もが今まさに自分が書こうとしている論文の内容は発表する価値があると信じて準備をしているものですよね?


しかし、雑誌に掲載するための条件はそろっているのだろうか?


と思われたこと、ありませんか?


論文を書き始める前に大切なステップをとることで第三者の目に映る論文の第一印象が大きく変わることをご存知でしょうか?


今回は論文を長年書き続け、査読をしてきている翻訳者・校閲者等が用いている論文作成の第一歩、基盤作り方法ご紹介したいと思います。

投稿経験が豊富な校閲者からの助言 2

Is my manuscript suitable for publication?

-Magic of “a one-page synopsis”-

ここで紹介する手法はほとんどのWriting Seminarにて紹介をされているかと思います。

ついつい「今更そんなことをしなくても」と思い込みがちなのですが、実際やってみるといかに自分の論文の方向性がまとまっていないかという基礎的な壁にぶち当たる方が多いことがわかりました。


では一体、何をするのか?

投稿経験が豊富な校閲者からの助言 3

ステップ

まず最初にテーマ性のある仮タイトルを考えてみましょう。

サンプル(投稿経験が豊富な校閲者からの助言6を参照)のような表を作成、項目を埋めていきましょう。

テーマに準じ最も主張したい事項を1~3点まで挙げ、それ等を1~2文にまとめてみよう。3点以上ある場合、論文の方向性がずれ始める原因になりかねないので別の論文にするかテーマ自体を再検討する必要性があるかもしれません。(ここで出来上がった文章は後々、抄録を書く際、大きな役回りを果たします。)


投稿経験が豊富な校閲者からの助言 4

2.ステップ1で挙げた主張ポイントに対し、方法の詳細は抜きとし具体的な情報すなわち数字や結果等)をまとめてみましょう。


3.ステップ2で挙げた具体的な情報を得るために用いた方法は一般的に知られているものなのか、何を比較対照したのか、統計的な処理で意義のある内容とみなされたのか?



  方法そして解析について見直してみましょう。



投稿経験が豊富な校閲者からの助言 5

4.  まとめを数行で書き上げてみましょう。

5.投稿を考えているジャーナルの基本情報をメモしておきましょう。
    
  例:投稿規程で求められているパーツ、ワード数制限等



最後に、同僚もしくは分野の最も近いと思われる第三者に書き上げたSynopsisを見てもらおう。



客観的な目が入ることで論文の主張ポイント、内容の意義性、信憑性、主張の方向性・まとまりがうまく第三者に伝わっているかを確認できます。



投稿経験が豊富な校閲者からの助言 6

One-page Synopsis of the Manuscript



Claim/s

Findings that support the claim/s

Conclusion

Any future prospects or visions

Any specific instructions
(e.g. word count limit)






投稿経験が豊富な校閲者からの助言 7

第三者からの意見を元に自分が描いたSynopsisを用いて論文のたたき台を作成してみる。



たたき台が出来上がった時点で、できれば同じ人に流し読みを頼みましょう。


一度相談した事項がどのようなものになったのかを報告するにもとてもよい手法と考えられています。


限られた情報をもとに論文だけをみることができる第三者は査読者に最も近い読者であり、彼等から発せられる指摘は査読者同様の重みがあると考えましょう。


新たに得た指摘を元に論文をしあげ、必要に応じて校閲会社に校閲を依頼


確かにそれでなくとも時間が無い中、このようなことに時間を費やしたくないと思われるかもしれません。

しかし、時間が無いときこそ、基礎的なことをしっかりと抑えることで、無駄な時間を費やす必要がなくなると同時に、読者を意識した論文作りが可能になります。

騙されたと思って、ぜひ一度お試しいただければと思います。


2010年8月16日月曜日

カバーレターの極意1

何故、初回テーマとしてカバーレターの極意を選択したか・・・
正直、このテーマ以外でもよかったのです。しかし、案外ここに落とし穴が隠れているのも事実。
手始めとしては的確なテーマだと思ってアップしてみました。


年間数多く投稿準備をされる研究者の大半は、投稿の際添えるカバーレターを以前誰かが作成したテンプレート、すなわち雛形で済まされているのではないでしょうか?

× これが案外大きな落とし穴に!?

近年、オンライン投稿が益々増加している中、著名ジャーナルになればなるほど一日に投稿される論文の数は多く、個々の論文に編集長が目を通している暇など無いのが現状です。
(実際、同じような経験をされている方も多いはず!)

そこで、いかに編集長の注目をキャッチできるかには二つの要素が必須になります。


カバーレターの極意2

1.詳細をもっと読みたくなるような抄録

誰もが抄録に関しては論文本体に付随するものであり、いかにうまく纏め上げ、残りの文書に興味を持たせるかを考慮しながら書かなくてはいけないということを意識しているとは思います。

しかし、まず抄録を読んでもらえる状況にもっていくにしても”コレ”がミスだらけでは中身がどんなに良くてもアピールしきれずに終わってしまいます。

その“コレ”こそが

2.興味をそそるカバーレター

カバーレターには、一般的に紹介されているような形式のものから、ジャーナルで指定された形式のものまで様々です。特にNATUREのような月間投稿者の数が非常に多いジャーナルなどは、数々の規定を設けることでハードルをあげているといっても過言ではありません。
そこで、カバーレター作成において必ず気をつけておきたいことをメモしてみました。

<確認事項その1>
正式なカバーレターの形式にのっとって書かれているか?
貴方自身が編集長もしくは査読者だったとして、適当に準備されたカバーレターを手にして、その送信者に対し敬意を抱くことは出来ますか?
規 定によってはカバーレターに含まれるべき事項が数点あり、その中には縮小版サマリーや、単語数制限のあるアピール文書などの作成が求められることがありま す。そのような中、それら規定を一切無視したレターが届いた場合、編集長もしくは査読者としてどのような印象を受けるでしょう?

<確認事項その2>
宛先の固有名詞は正しいか?
誰 にでも固有名詞を間違える可能性はありますが、あまり印象が良くないことも事実です。Mr., Mrs., Ms., 等の記載においては、稀に女性であるか男性であるか判断がつかない名前もあるので気分を害される方は少ないのですが、M.D., Ph.D.等の記載に関しては非常に敏感な方もおられますので気をつける必要があります。


カバーレターの極意3

<確認事項その3>
スペルミスが散見されていないか?
たかがカバーレターと思いがちですが、ここでのスペルミスや英文のわかりにくさは、論文の英語力に比例するのではないかと推測されやすくなります。論文をしっかり校閲してもらっておきながら、レターで初歩的なミスを散乱させていては査読の際、重箱の隅をつつかれるような状況下にご自身の論文を落としこんでしまうことにもなりかねません。

<確認事項その4>
論文のアピールポイントをしっかり抑えているか?
一般的にもよく言われていることですが、論文を書き始める前にシノプシス、論文の概要をA4用紙一枚以内にまとめられないのであれば、論文を書いても第三者が読んだ際、矛盾を感じたり、方向性が見えなかったり、主張したいポイントがわからないものが出来上がるといわれます。常にご自身の研究について、事前情報を持っていない第三者に対し数行で説明が出来るように心がけていると、この作業が楽になります。特に、その研究の目的、成果、価値がしっかりアピールできているかがキーポイントです!

<確認事項その5>
第一著者の連絡先は正しいか?
案外気を抜きがちな情報だということに皆さんはお気づきでしょうか?うっかり市外局番を打ち間違えていたり、住所の綴りを間違えていたりすることがあるそうです。見慣れてしまっている情報ほどミスが隠れていることを、常に頭の隅においていただくと良いかもしれません。

これら確認事項はごく一般的なポイントであり、ジャーナルのレベル、研究の複雑さ、投稿先との関係などによっては、もっともっと気を使って準備する必要もありますし、逆に簡素化が求められている場合もあるので、面倒でも必ず投稿時の手順、規程等を確認することを心がけましょう。(雑誌によっては出版会社の統合の結果、突然規定が大きく変わったりすることが近年非常に多くなっています。)

論文サポートのエヌ・エイ・アイでは、ご希望があればカバーレターのNormal EditからExtensive Editまでご対応が可能です。ご依頼時に詳しいご要望をご連絡頂けましたら、担当コーディネーターが校閲者にその旨お伝えいたします。

エヌ・エイ・アイ株式会社
論文サポート部門
コーディネーター  荒井幼子


2010年7月20日火曜日

ご挨拶

はじめまして、論文サポートのエヌ・エイ・アイ、コーディネーターの荒井です。

この度、日頃我々がなかなか先生方一人一人にお話することが出来ていない投稿論文作成の裏に隠れている数々のヒントを、不定期ではありますがアップしていこうと思いこのページを開設致しました。

エヌ・エイ・アイは1995年に、代表取締役の伊藤と、在米日本人医師とほんの一握りの校閲スキルを持った研究者により設立されました。

その目的はただひとつ・・・

英語力がないが故に、日本人研究者達によって日々築かれている研究成果が、世界の大舞台に羽ばたき注目されないのはとても残念すぎる!微力ながらも英語論文校閲といった形で、日本人研究者をサポートすることができたなら。

設立から既に15年・・・

我々の元には数々の成功、もちろん失敗の経験が蓄積してまいりました。

それらの経験から少し、皆様のお役に立つ情報をアップしていこうと思っております。
お時間の許す限り、お付き合い頂けましたら幸いに存じます。

ご挨拶まで

エヌ・エイ・アイ株式会社
論文サポート部門
コーディネーター  荒井幼子