2010年8月16日月曜日

カバーレターの極意1

何故、初回テーマとしてカバーレターの極意を選択したか・・・
正直、このテーマ以外でもよかったのです。しかし、案外ここに落とし穴が隠れているのも事実。
手始めとしては的確なテーマだと思ってアップしてみました。


年間数多く投稿準備をされる研究者の大半は、投稿の際添えるカバーレターを以前誰かが作成したテンプレート、すなわち雛形で済まされているのではないでしょうか?

× これが案外大きな落とし穴に!?

近年、オンライン投稿が益々増加している中、著名ジャーナルになればなるほど一日に投稿される論文の数は多く、個々の論文に編集長が目を通している暇など無いのが現状です。
(実際、同じような経験をされている方も多いはず!)

そこで、いかに編集長の注目をキャッチできるかには二つの要素が必須になります。


カバーレターの極意2

1.詳細をもっと読みたくなるような抄録

誰もが抄録に関しては論文本体に付随するものであり、いかにうまく纏め上げ、残りの文書に興味を持たせるかを考慮しながら書かなくてはいけないということを意識しているとは思います。

しかし、まず抄録を読んでもらえる状況にもっていくにしても”コレ”がミスだらけでは中身がどんなに良くてもアピールしきれずに終わってしまいます。

その“コレ”こそが

2.興味をそそるカバーレター

カバーレターには、一般的に紹介されているような形式のものから、ジャーナルで指定された形式のものまで様々です。特にNATUREのような月間投稿者の数が非常に多いジャーナルなどは、数々の規定を設けることでハードルをあげているといっても過言ではありません。
そこで、カバーレター作成において必ず気をつけておきたいことをメモしてみました。

<確認事項その1>
正式なカバーレターの形式にのっとって書かれているか?
貴方自身が編集長もしくは査読者だったとして、適当に準備されたカバーレターを手にして、その送信者に対し敬意を抱くことは出来ますか?
規 定によってはカバーレターに含まれるべき事項が数点あり、その中には縮小版サマリーや、単語数制限のあるアピール文書などの作成が求められることがありま す。そのような中、それら規定を一切無視したレターが届いた場合、編集長もしくは査読者としてどのような印象を受けるでしょう?

<確認事項その2>
宛先の固有名詞は正しいか?
誰 にでも固有名詞を間違える可能性はありますが、あまり印象が良くないことも事実です。Mr., Mrs., Ms., 等の記載においては、稀に女性であるか男性であるか判断がつかない名前もあるので気分を害される方は少ないのですが、M.D., Ph.D.等の記載に関しては非常に敏感な方もおられますので気をつける必要があります。


カバーレターの極意3

<確認事項その3>
スペルミスが散見されていないか?
たかがカバーレターと思いがちですが、ここでのスペルミスや英文のわかりにくさは、論文の英語力に比例するのではないかと推測されやすくなります。論文をしっかり校閲してもらっておきながら、レターで初歩的なミスを散乱させていては査読の際、重箱の隅をつつかれるような状況下にご自身の論文を落としこんでしまうことにもなりかねません。

<確認事項その4>
論文のアピールポイントをしっかり抑えているか?
一般的にもよく言われていることですが、論文を書き始める前にシノプシス、論文の概要をA4用紙一枚以内にまとめられないのであれば、論文を書いても第三者が読んだ際、矛盾を感じたり、方向性が見えなかったり、主張したいポイントがわからないものが出来上がるといわれます。常にご自身の研究について、事前情報を持っていない第三者に対し数行で説明が出来るように心がけていると、この作業が楽になります。特に、その研究の目的、成果、価値がしっかりアピールできているかがキーポイントです!

<確認事項その5>
第一著者の連絡先は正しいか?
案外気を抜きがちな情報だということに皆さんはお気づきでしょうか?うっかり市外局番を打ち間違えていたり、住所の綴りを間違えていたりすることがあるそうです。見慣れてしまっている情報ほどミスが隠れていることを、常に頭の隅においていただくと良いかもしれません。

これら確認事項はごく一般的なポイントであり、ジャーナルのレベル、研究の複雑さ、投稿先との関係などによっては、もっともっと気を使って準備する必要もありますし、逆に簡素化が求められている場合もあるので、面倒でも必ず投稿時の手順、規程等を確認することを心がけましょう。(雑誌によっては出版会社の統合の結果、突然規定が大きく変わったりすることが近年非常に多くなっています。)

論文サポートのエヌ・エイ・アイでは、ご希望があればカバーレターのNormal EditからExtensive Editまでご対応が可能です。ご依頼時に詳しいご要望をご連絡頂けましたら、担当コーディネーターが校閲者にその旨お伝えいたします。

エヌ・エイ・アイ株式会社
論文サポート部門
コーディネーター  荒井幼子